こんなにも過激で純粋で、そして繊細な女性がいたなんて!!
私の中で忘れていた部分に炎が灯った気がしたわ。

自分の信念を表現するのって難しいわよね。
でも彼女は、全身を使って、自分の美意識も使って、
全てを曝け出したのよ。
彼女がウクライナで立ち上がったのは、
ロシアの侵攻が始まる十数年前のこと。
女性蔑視や、政治腐敗に対する怒りをぶつけたの。
頭には花冠。トップレス。胸にはスローガンを書いて。
どんだけ? どんだけ勇気があればできるの?
彼女の名前はオクサナ・シャチコ。

イコン画のアーティストとしてお金を稼いでいたわ。
でもね、受け取るのはいつも契約より低い額。
いわゆる男尊女卑よね。
ありえなくない?
でも2008年のウクライナでは、それが当たり前だったのよ。
だから彼女は闘うことを決めた。
フェミニスト活動団体【FEMEN (フェメン)】を結成して。

警察に捕まっても、正体不明の人物に拉致され拷問を受けても。
闘いの花冠はとらなかった。
彼女をそこまで突き動かしたのは何だったのかしら。
あまりの男尊女卑に憤慨して?
政治と宗教の癒着に抗議して?
そんなモノじゃないと思う。
女性である自分自身の尊厳を守るため。
自分が貫く美学を表現するため。
だったんじゃないかと私は思うの。

映画の筋書きを書こうと思えばいくらでも書ける。
でもひとことで言えるわ。
自分の信念を貫くため、立ち上がった裸の革命家の
葛藤と孤独と芸術を描いた作品です。てね。
抗ったのは時の政治であり、家父長制度であり、女性蔑視。
そしてなにより、見て見ぬふりをする世間に対してよ。
ウクライナで革命を起こし、
彼女はフランスに亡命して芸術に没頭した。
彼女が革命を辞めたわけじゃなく、
革命(同志)が彼女を放り出したのよ。
「あなた独特の美学にはついていけないわ」と。
それほどオクサナは、みんなが考えるほど単純じゃなくて、
過激で、芸術家で、思考派だったのよ。

この作品のすごいところは2つあるわ。
ひとつは映画の構成。
革命家の話をするなら、
順を追って物語にすればいいわよね。
でも違うの。
ウクライナでの革命シーンと、
フランスに亡命してから芸術に没頭するシーンが
交差してでてくるの。
これってかなり冒険的な構造でね。
よーく見ておかないと
観客は置いてけぼりにされちゃうじゃない。
アレ?今、私どっちのオクサナを観ているの?って
だけどこの作品に限って言えばその心配はない。
だって、徹頭徹尾、オクサナの美学と信念が
彼女の内面を通して描かれているからよ。
むしろそれがどんどん強調されていくような感触を覚える。

そしてもう1つは、オクサナを演じた
アルビーナ・コルジさんが本当のウクライナの人ってこと。
そして初主演なのに、この上なく
強烈なオクサナを演じきっているってところ。
31歳で自死を選んだオクサナが遺言のように語った
「YOU ARE FAKE」(お前は紛い物)の解釈。
監督は、人権を踏みにじる独裁者に無反応な世界へ向けた叫びであり、
個人の名声を優先し、集団の戦いを軽視する人々への批判でもある。
って答えている。
私には、どうしてもオクサナ・シャチコ自身への
呪いの言葉のようにも聞こえたのよね。
どんだけBODYをキャンバスにして
色を塗りたくっても、本当の自分がもう何者かわからなくなってしまった悲鳴。
そんな気がするんだけど。
観てみて。
あなたならどう思うか。
タイトル:『OXANA 裸の革命家・オクサナ』
監督:シャルレーヌ・ファヴィエ 脚本:シャルレーヌ・ファヴィエ、ダイアン・ブラッスール、アントワーヌ・ラコンブルズ
出演:アルビーナ・コルジ、マリア・コシュキナ、ラダ・コロヴァイ、オクサナ・ジュダノワ、ヨアン・ジメル、ノエ・アビタ
2024 年/原題:OXANA/制作国:フランス・ウクライナ・ハンガリー/104 分
© 2024 – Rectangle Productions – 2.4.7. Films – Hero Squared – France 3 Cinéma – Tabor Ltd

