少女から大人の女性へ羽ばたく時って、
どうしてこんなに官能的で美しいんでしょ。
きっとこの作品の映像が詩的だからだと思う。
時は第二次世界大戦前、イタリア・トリノ。
お針子で16歳のジーニアは、田舎から上京し、仕事に没頭していた。

そんなある日、兄たちと行った川辺のピクニックで運命的な出会いをするの。
3つ年上でモデルのアメーリア。

初体験すらまだのジーニアにとって、
自由奔放に男性と戯れるアメーリアは憧れの存在。
次第に彼女に惹かれていく。
アメーリアもまた、無垢なジーニアが気になる様子。
アメーリアに誘われるままに、
ジーニアが足を踏み入れたのは、
芸術家たちが集う魅惑の世界。

思春期の女子にとって、
自分がどう見られているのか、
いつ、誰とどんな恋愛をするのかって、
大いなる謎であって、一番の興味よね。
期待と不安がいりまじって、
それこそ「もう何もわからなく」なっちゃう。
可憐な乙女が性に目覚めていくという
難しい役どころを演じたのは、
実力派のイーレ・ヴィアネッロさん。
首の傾げ方ひとつで青春の憂いみたいな
危うさを見事に表現しちゃうのね。

そんな技ありのヴィアネッロさんと対等に、
いや、もっと言えば鮮烈に、
スクリーンデビューを果たしたのが、
アメーリアを演じたディーヴァ・カッセルさんなのよ!

彼女、モニカ・ベルッチさんとヴァンサン・カッセルさんの娘さんなのね。
サラブレットです。もうオーラが半端ない。
眩しい!ただ存在が眩しい。
どうしても、ご両親の名前が出されちゃうと思うけど、
今回の作品で、ただのお嬢様じゃないことを
しっかり印象付けたと思うわ。
だって、ヴィアネッロさんの透明感を
喰う勢いの眼力があったんですもの。
男性陣を手の上で転がしながらも、
アメーリア自身の性の自覚を匂わせるという、
芯の通った演技だったわ。

イタリア文学界の巨匠チェーザレ・パヴェーゼの小説が原作。
誰もが知る傑作の映像化に挑んだのが、
ラウラ・ルケッティ監督ね。
瑞々しい演技の2人を、
まるでスケッチするかのように、
丁寧にほっそい輪郭で描きましたって感じ。

思い出して、自分が大人の世界に踏み込んだ瞬間のドッキドキを。
人生で一度しか体験できない不思議な瞬間を。
その一歩がどんな結果であろうと、
望んだ世界か否かいずれにせよ、
間違いなく自分が選んできた道。
受け入れながら大人になっていくのよ、みんな。
最後のシーンの2人の力強いステップは
強烈に勇気づけられるはずよ。
タイトル:『美しい夏』
◾️監督・脚本:ラウラ・ルケッティ 出演:イーレ・ヴィアネッロ、ディーヴァ・カッセル
2023/イタリア/イタリア語・フランス語/111分/カラー/2.39:1/5.1 原題:La Bella Estate
■コピーライト表記:©2023 Kino Produzioni, 9.99 Films ©foto di Matteo Vieille
■配給:ミモザフィルムズ
■キャッチコピー:あなたといる、私が好き
■2025年8月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
