
『フェイブルマンズ』巨匠スピルバーグ監督の人生哲学がわかる逸品

こんなのを待ってました!!
スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品。
ブラボーです! 感無量です! 人生哲学がじわーっと溢れます。そして心に沁みます。
『フェイブルマンズ』の主人公はサミー・フェイブルマン。
いわばスピルバーグ監督を投影した人物ね。
彼は、幼い頃両親に連れられ初めて映画館にいくの。
観た作品は「地上最大のショー」。
車と汽車が衝突するシーンに圧倒されるサミー少年。
すっかり映画の虜となります。
そんな彼に母ミッツィは、父の8ミリカメラを与えます。
サミーは水を得た魚のように、自ら映像を作り始める。

やがて思春期になったとき、いつものように家族旅行の風景を撮影します。
でもその映像に映った光景にショックを受けることになるの。
彼が観たこと。それは母ミッツィの秘密だった…。

『フェイブルマンズ』は、タイトル通り、フェイブルマン一家の馴れ初めを、
サミーの成長を軸に描いたもの。
彼がなぜ映画作りに夢中となったのか、その背景にあった両親との日々が綴られている。

中でも注目すべきは、当時の女性にしてはアヴァンギャルドな存在の母親ミッツィ。
音楽家でピアニストを目指してたんだけど、家庭を持つために断念するの。
ものすごく感情豊か。竜巻を追いかけちゃったりする。
そんなエネルギッシュで、自由奔放で芸術を愛する感性を、サミーは十分に受け継いでいる。
同時に、天才的な才能をもつエンジニアだった父の寛容さもサミーはのちに知ることになるんだけど。

この作品、巨匠スピルバーグの原点がわかる、という単純なものじゃないわ。もちろん。
映像はともすれば諸刃の剣。
真実を映し出すことの衝撃を持ちつつ、
映像を撮る人間の眼差しと編集という作業が加わることで、
単なる真実以上の怪物にもなり得る。
そのことをサミーは実体験していくの。

「芸術を愛することは孤独を抱くことになる」
そう、サミーのおじさんは彼に伝えるのだけど、
果たして本当にそうだったのかしら。
確かに、家族か、映画作りかの狭間に立たされるシーンがある。
作った映像作品が意図せぬ誤解を招くこともある。
それでもサミーは孤独どころか、映画監督への道を嬉々として選ぶわ。なぜか。
きっと「全てのことには意味がある」という母の口癖を
心底わかっていたのよ。

意味があるからいろんなことが起こる。
そこに正解も不正解もない。
何が誠実で何が過ちかもなく真正面から受け止める。
そんな人生哲学を、彼は両親から学んだのね。
そういう公平な眼差しって、スピルバーグ監督作品にも反映されている気がする。
彼の人生哲学、あなたならどう解釈するかしら。
映像が観たくなったらコチラもチェック!!
◆タイトル◆
『フェイブルマンズ』
2023年3月3日(金)全国公開
© Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
配給:東宝東和

