『SHE SAID/ シー・セッド その名を暴け』#Me Tooはこうして生まれた! 巨悪に立ち向かう女性ジャーナリストの実話
#Me Tooって知ってる?
社会にはびこる性的被害を告発しようって運動。
私も! 私もよ! と女性たちが声を上げてるってやつ。
この#Me Tooをどばーっと世界に広げる元になった記事。
それを書いた女性ジャーナリストたちの奮闘を描いたのがこの映画『SHE SAID』。
ハリウッドにはハーヴェイ・ワインスタインっていう大物プロデューサーがいてね、
このおっさん、もう有名女優から従業員まであらゆる女性にセクハラ…じゃないわね、
暴行って言った方がいい。性的暴行を繰り返してたわけよ。
その発端を知ったNYタイムズの女性記者2人が、悪行を被害者の声をあつめて退散させようとするの。
けどね、みんな揃って口をつぐむの。
なぜって、被害者は示談に応じてて、喋ると訴えられちゃう仕組みになってたから。卑劣〜!!
そんな超難関続きの案件を、主人公の女性記者・ミーガンとジョディは一人一人口説き落としつつ証言を積み上げ暴こうとする。
これ、全部実話なの。真実。実在の人物。有名女優さんが実名で出てきたりする。
発信された記事も本物で、アメリカでピューリッツァー賞を受賞したのよ。
(ピューリッツァー賞は、新聞・雑誌・報道や文学・作曲の優れた功績に贈られる賞)
ただ1点言っておきたいのは、この映画にレイプシーンだとか暴力シーンは一切登場しない。
それは、女性であるマリア・シュラーダー監督がすごく大切にしたこと。
事実、裸や犯罪の現場なんてなくっても、ホテルの廊下で女性が泣き崩れるとか、
街の中を恐怖に慄く形相で走る女性のカットで十分伝わるの。ここが上手い演出ね。
だから予告編を見た時は、一瞬ホラーかと思うくらいだったわ。(もちろん違うけど)
闇の深さと敵対する相手の巨大さが、ヒタヒタと女性たちを蝕むのがわかるの。
そしてシュラーダー監督がすごくいい言葉を残してる。
「男性支配の世界で、女性として生まれ、この世界で女性として育ち、女性として仕事することがどんなことか」
焦点はそこに絞られていると。
ハリウッドとか、ヨーロッパとか、日本とか関係ないの。
女性が女性としてどう生きるかを描いた映画なのよ。
だから、主人公ミーガンとジョディの私生活のシーンもでてくる。
2人には娘ちゃんがいるの。
家庭をもちつつ仕事をする女性がどんな思いで社会に存在するかも描かれている。
ミーガンなんか、産後うつになっちゃうのよ。
NYのバリキャリでも。
いや、バリキャリだからこそ赤ちゃんを抱えて180度違う環境になったらそりゃ鬱になっちゃう。
そんな時に女性上司(これまたかっちょいい上司なんだけど)が彼女に聞くのね。
「仕事で何か役に立つことはある?」って。
これ、全世界の働くキャリママに知って欲しいし、男性にこそ知ってほしいシーンだったわ。
仕事を持つということが女性にとってどれだけ心の救いになるのか。
そして仕事に打ち込むことでどれほど心の安定が保たれるのかね。
この映画『SHE SAID』、単なるスクープ物語だと思ってみたら大損するわよ。
もっともーーーっと奥が深いんだから!!
『SHE SAID / シー・セッド その名を暴け』
© Universal Studios. All Rights Reserved.
配給:東宝東和 上映時間:129 分
◆公式 HP:shesaid-sononawoabake.jp
2023年1月13日(金) 全国ロードショー