『The Son /息子』愛だけでは乗り越えられないの!? 親子の心が試される慟哭の映画
のっけから涙がポロポロ。
もう涙腺崩壊。
親子は互いに寄り添おうとするのに、
なぜかボタンを掛け違えてしまう。
なんて切ないんでしょう。
ヒュー・ジャンクマン演じるピーターは、
有名政治家からも頼りにされるほど将来有望な敏腕弁護士。
2度目の結婚で、若い妻との間に幼い赤ちゃんがいる。
順調な毎日。
そこに前妻が現れるの。
息子ニコラスが不登校で困っていると。
そして息子に会ったピーターはニコラスに頼られる。
「一緒に暮らしたい」ってね。
もちろん息子の力になりたいって父なら思う。
だからピーターは今の妻を説得して一緒に住むの。
けれど、ニコラスの不登校はまるでなおってなかった。
父は息子に詰め寄る。人生に向き合えと。
心を病んでしまったニコラスが出した答えに衝撃が走る。
何が泣けるって、
再婚した元夫のところへ息子の不調を訴えにいかなきゃいけない前妻ケイト。
申し訳なさそうな態度、母親失格だと自分を責める姿に泣けちゃう。
今の妻を愛しているのだけど、前妻の力にもなってあげたいピーターの板挟みに泣いちゃう。
そして何より、息子ニコラスの
「父さんは母さんと僕を見捨てたんだ」って叫びにぐっとくる。
もうセリフの一つ一つに心が締め付けられちゃう。
この作品、フロリアン・ゼレール監督が手掛けたのね。
親子の絆を描く3部作の2作目がこの『The Son /息子』なの。
前作『ファーザー』でもそうだったんだけど、
とにかく人物描写が上手い!!
無言のアップでその人が何を考えているのか、心境がヒシヒシと伝わってきちゃう。
セリフは無用なのよ。
人って、本気で参ってる時ってベラベラ喋んないじゃない?
そんな表情で魅せる演技をヒュー・ジャックマンが重厚にこなしている。
彼だけじゃないわね。
出演者全員すごい!
17歳のニコラスを演じたゼン・マクグラスなんて、
オーディションでこの役を勝ち取ったんだけど、
今回の演技で期待の新人って太鼓判を得ているわ。
前作『ファーザー』で主演を演じたアンソニー・ホプキンスが
これまた重要なシーンで登場しているの。
実は、ピーター自身がかつて味わった父親への不信感。
それが現在の息子ニコラスにも繋がってしまった負の連鎖が描かれている。
果たしてピーターはニコラスを絶望の淵から救うことができるのか。
愛だけでは乗り越えられない現実がある。
でも、愛がなきゃ親子ってやってられないのもまた真実だと思うのよね。
とにかく心にズシッとくる作品よ。
映像が観たくなったらこちらを覗いてみてね!
『The Son/息子』
3月17日(金)TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
© THE SON FILMS LIMITED AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.
監督・脚本・原作戯曲・製作:フロリアン・ゼレール 『ファーザー』
出演:ヒュー・ジャックマン、ローラ・ダーン、ヴァネッサ・カービー、ゼン・マクグラス、アンソニー・ホプキンス