『コンペティション』俳優の意地と意地がぶつかるュールな世界がたまらない映画
ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス夢の共演、そしてアルゼンチンが誇るベテラン俳優オスカル・マルティネスを加えた3人が織りなす映画業界の裏話。
そう聞くと、すごくゴージャスで華やかな世界を思い描くでしょ?
全然違うから。
もっと映画製作を皮肉ったアイロニックな作品よ。
きっかけは、名声を残したい大富豪の突拍子もない一言から始まる。
「一流の人材で、至上最高の映画を製作する」
白羽の矢が立ったのは、ペネロペ・クルス扮する気鋭の売れっ子監督ローラ。
原作はノーベル賞を受賞した小説「ライバル」。
そして、ローラが主演に選んだのは、真逆の性格もつ2人の俳優。
オスカル・マルティネス演じる気難しい名優と、
アントニオ・バンデラス演じるチャラいスター俳優。
もうこの組み合わせだけで売れそうでしょ?
けれど、3人の映画人が顔を合わすと、そこはもう戦場なのよ。
俳優同士の意地の張り合い。騙し合い。
天才監督によるエクササイズと称する奇妙な演技指導。
これでホントに至上最高の偉大な作品ができあがるのかしら?ってくらい奇想天外。
延々と続く滑稽なセリフの応酬。
急転直下の出来事の連続。
半端なくスタイリッシュな空間で続くクランクインまでの日々。
まるで3人が現代アートかっていうくらいシュールなの。
観客はすっかり3人のペースにハメられるわ。
次はどんな毒舌をはくのか、それをどんなスタイルで打ち返すのか。
クスクス笑が止まらない。
この作品、映画業界の裏側が設定だけど、
実はどの業界にだってあり得る、
人間の深層心理を描いているとも言える。
どの世界にいても、くだらないエゴや競争心、
見栄を張るとか、物への執着心といったものがあるでしょ。
それを木端微塵に打ち砕いてくれるのよ。
本気で。
ちなみに、ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラス。
この2大スター、意外にも2分以上同じ画面に映ったことがなかったんですって。
だから、本格的な共演が初めてなの。
驚きよね。
経験豊富なスターたちが演じるからこそ、
この作品の核である映画への風刺のエッセンスが深まっているんだと思う。
果たして至上最高の映画というものは出来上がるのか。
3人の映画人に栄光は訪れるのか。
結末は映画を観てのお楽しみです。
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タイトル:コンペティション
3 月 17 日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開 配給:ショウゲート
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