Film,  ボレロ 永遠の旋律

『ボレロ 永遠の旋律』作曲はセクシーだ。音と音が絡まり、人と人が絡まり紡がれる。名曲誕生の裏にある葛藤の物語


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名曲「ボレロ」を創った謎多き天才作曲家ラヴェルの人生がこんなにもエロティックだったなんて! 

それは、男女の別とか性的セクシャリティなんかを超えた、もっと人間の本能をえぐるような感情

新感覚の音楽映画に触れられる作品よ。


© 2023 CINÉ-@ – CINÉFRANCE STUDIOS – F COMME FILM – SND – FRANCE 2 CINÉMA – ARTÉMIS PRODUCTIONS

スネアドラムが刻まれ、同じリズムが169回も繰り返す。

誰もが聞いたことのある名曲「ボレロ」は、いかにして生まれたのか。


舞台は、1928年のパリ。

作曲家モーリス・ラヴェルは、一音もかけないスランプの真っ只中にいたの。

そこへ、ダンサーのイダ・ルビンシュタインがバレエ音楽の話を持ちかける。


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観る者は、いつあのフレーズが閃くのかと手に汗握りながら食い入るわ。

きっと、何かしら素晴らしい導きが起こって、一気に書き上げるのでは?

その瞬間を待つの。


でも、そんな陳腐な期待なんて見事に裏切られる


なぜなら、あまりにも曲が書けない日々が綴られるから。

叶わぬプラトニックな愛戦争の傷跡最愛の母の死…。

盛り込まれるのは、ラヴェル自身の人生を振り返る映像たち。

過去と対峙をしながら、作曲に喘ぐラヴェルの葛藤ばかりが続く。


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そして、コレだ! というお知らせもなく、ポロリ、ポロリとあのリズムが繰り出されるのよ。


え、えぇぇ、いつ思いついたの? っていうくらい刹那に。

ラヴェルの指先から、ついにあの旋律が生まれるの。



映画の冒頭、観客は「ボレロ」を通してラヴェルが訴えたかったことをまず叩き込まれるわ。

産業革命がもたらした機械音の連続

ラヴェル自身、「インスピレーションの多くは、機械から得た」と言っているように、工場に佇むラヴェルと共に、ボレロの旋律のごとく完璧な音の刻みを聞くのよ。


でもね、やっとの思いで書き上げた「ボレロ」に纏われたダンスは、残念ながらラヴェルの思いとはまるで違うものだった。


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彼女がつけた振り付けは、まるで娼婦の踊り


実は、それこそが「ボレロ」の魅力なの。

ルビンシュタインが「ボレロ」から受け取ったのは、本能を揺さぶるエロさだったって訳。


屈辱と落胆の淵に立つラヴェル。


彼同様、私たちはこの作品と通して知ることになるのよ。

音楽とは、作曲して終わりではなく、第三者が奏でて、表現して初めて命が吹き込まれるのだと。

それが、どれほど生みの親の意図しないものとなっても、受け入れなければならないって。


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『ボレロ 永遠の旋律』は、天才作曲家が、まるで神の啓示を受けるかのように気持ちよく傑作を書き上げる、といった類いのものじゃない。

むしろ、逆


まるで、絞り切ったタオルからまだなお水分を出そうとするかのような、クリエイターの苦悩を描くもの



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ストイックなラヴェルを、フランスのセクシーな俳優ラファエル・ペルソナが繊細さ満点に演じている。

ペルソナは、ラヴェル役のためにかなり減量したそうよ。

作曲への情熱とは裏腹に、体は脆かったラヴェルを表現するためにね。


この作品、一番のセクシーポイントはもちろん傑作「ボレロ」なんだけど、

彼の長年のミューズであるミシアとの関係も見逃せないわ。

© 2023 CINÉ-@ – CINÉFRANCE STUDIOS – F COMME FILM – SND – FRANCE 2 CINÉMA – ARTÉMIS PRODUCTIONS

生涯独身を貫いたラヴェルが、どうしてこれほどエモい曲を書くことができたのか

ラヴェルがどんなセクシュアリティの人だったかは、映画を見た人の感じ方に任せるとして。

ラヴェルを取り巻く女性たちが、彼の作曲家人生にどんな影響を与えたかが、ひとつのヒントになると思う。


とにかく、「ボレロ」の魅惑の旋律が、どうしても頭から離れなくなるわよ。

予告編&映像が見たい時は、こちらもよろしく!


タイトル『ボレロ 永遠の旋律』

8月9日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開

★スタッフ
監督:アンヌ・フォンテーヌ

★キャスト
出演:ラファエル・ペルソナ、ドリヤ・ティリエ、ジャンヌ・バリバール、エマニュエル・ドゥヴォス、ヴァンサン・ペレーズ

★フィルムデータ
BOLERO/121分/フランス/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:松岡葉子

★配給:ギャガ

★公式HP:https://gaga.ne.jp/bolero

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